更新日: 2025年05月26日
岸和田市で新規就農した南農園。「衝撃の甘さ」と話題の彩誉(あやほまれ)人参と水なすを中心に栽培し、家族や仲間に支えられながら土づくりにこだわっています。南さんが語る農園の熱い思いと今後の展望をお伺いしました。
現在は約2ヘクタール(約6,000坪)の農地で、水なすと人参を中心に栽培している。敷地としては人参の方がやや広めだ。
水なすは3月頃から収穫が始まり、11月頃まで出荷する年間を通じた主力作物。ハウスと露地の両方で栽培し、特に「土づくり」にこだわっている。具体的には『バクタモン』という土壌微生物を応用した肥効促進・調整資材を使用。「手をかければかけるほど良いものができる」と南さんは話す。その分、栽培の難易度はぐっと上がるが、味は格段に良くなる。
「最初の年はうまくいかず、かなり苦戦しました。でも、なんとか育った水なすを食べてみたとき、その美味しさに本当に驚きました。『こんなに違うのか』と感動して、そこからは試行錯誤の連続でした。」
もう一つの顔が、冬限定の人参だ。収穫時期は12月下旬から3月下旬頃まで。品種は『彩誉(あやほまれ)』で、「岸和田の衝撃のにんじん」としてメディアに取り上げられたこともある。寒さにあたることで甘みが増すため、露地栽培にこだわっている。この栽培方法を南さんたちは「寒締め」と呼ぶ。「冬の厳しい寒さが、味に深みを与えてくれる」と南さんは言う。
冬季には並行してイチゴ栽培にも取り組んでおり、品種は『紅ほっぺ』。甘みと酸味のバランスがよく人気がある。
現在は南さんと妻に加えて、社員4名体制で農園を運営している。繁忙期にはパートスタッフにも手伝ってもらいながら、チームで農作業を進めている。
「いま一緒に働いてくれているスタッフたちには本当に感謝しています。私にとっては家族のような存在で、年上のスタッフもいますが、どこか"父親"のような気持ちで接している部分もあります。」
毎日支え合いながら農業ができていることが何よりありがたい、と南さんは話す。逆にスタッフが困っているときには今度は自分が支えたいという思いで仕事に向き合っている。
農業を始めたタイミングには恵まれていたという。当時はまだ新規就農者が今ほど多くなく、農地の確保がしやすい時期だった。資材の価格も今ほどではなく、規模を拡大しやすい環境だった。
しかし順風満帆ではなかった。2018年の台風21号では大きな被害を受けた。借りていたハウスはすべて潰れ、天井が地面に埋まるほどの惨状。「ゴジラが踏んだんじゃないか」と思うほどの衝撃だったという。翌年は栽培もままならない状況まで追い込まれた。そこからやっとの思いで立て直した矢先、2020年にはコロナ禍が重なった。
「あのときの苦しさを乗り越えたんだから大丈夫」。今は物価高の影響で資材コストが大きな負担になっているが、販売ルートはしっかり動いており、南さんはそう語る。
まずはなんといっても「生」で食べるのが一番のおすすめだ。みずみずしくて甘みがあり、そのままでしっかりおいしさを感じられる。塩とオリーブオイルをかけてサラダ感覚で食べるのもシンプルながら絶品。加熱するなら味噌汁に入れるのも美味しい。そして地元に伝わる、とっておきの食べ方がある。
MINAMI FARM'S RECIPE
水なすのボイル、生姜醤油がけ
「特に暑い夏には、この冷やし水なすが地元では『一番のごちそう』と言われるほど人気です。冷たさと水なすの自然な甘みが体にしみわたり、本当に格別ですよ。」——南孝信
水なすについては、自分の農園で加工まで行い、漬物などの商品として出荷できる体制を整えつつある。いちご栽培も軌道に乗れば、観光農園としていちご狩りを楽しんでいただける場所にしたいと考えている。
今年度中には岸和田市内に直売所を開設する予定。お米をはじめとしたさまざまな農産物を直接手に取っていただける場所になる。