幻のたまねぎ吉見早生の復活 田尻町産業振興課_02

幻のたまねぎ吉見早生の復活 田尻町産業振興課 岡井さん

  • 田尻町
  • 泉州たまねぎ

更新日: 2023年05月01日

幻のたまねぎといわれる、吉見早生。この吉見早生は、30年以上前に一度は途絶えていました。そんな幻のたまねぎが、どのようにして復活を遂げたのか。その謎を追って、編集部は田尻町役場を訪ねました。

甘さと水分——吉見早生という個性

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田尻町を中心とした泉州エリアでは、明治15〜16年頃から玉葱の栽培が始まった。改良を重ねた末に生まれたのが『吉見早生(よしみわせ)』だ。その最大の特徴は、際立った水分量と強い甘み。かつては海外に輸出されるほどの評価を誇った。

一般的な球形のたまねぎと比べ、吉見早生は扁平な形状をしている。この見た目の個性が、唯一無二の食感と甘さを生み出している。現代人の好みにもよく合い、他品種と糖度を比較した調査では吉見早生が圧倒的な高さを示した。

「比較調査では、吉見早生の糖度が10に対して他品種は7.6ほど。圧倒的に吉見早生が高いんです。」——田尻町産業振興課 岡井さん

昭和62年、途絶えた理由

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これほどの味を誇りながら、吉見早生は1980年代に市場から姿を消した。理由は品質ではなく、流通の壁だった。水分が多いゆえに傷みやすく、扁平な形状は加工時の歩留まりが悪い。農協が1987年(昭和62年)に出荷を停止すると、当時は直売所やECサイトのような代替の販路がなく、農家も栽培をやめるほかなかった。

こうして味の優れた品種が、経済的な理由で姿を消した。それが「幻」と呼ばれるゆえんだ。

床下に眠っていた種——奇跡の復活

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吉見早生が絶えて以来、ある農家がひそかに自家用として栽培を続けていた。その農家が最後に作った種を、缶に入れて床下に保存していたのだ。それを知った田尻町の役場と農業委員会が、大阪府環境農林水産総合研究所(食とみどりの総合技術センター)に持ち込んで発芽試験を実施。見事に成功した。

「約20年眠っていた種が、床下の気候に守られて発芽したんです。翌年に別の缶で試したときはうまくいかなかった。本当に奇跡的な復活でした。」——田尻町産業振興課 岡井さん

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復活後は農業委員で構成される「たまねぎ発祥の地協議会」が栽培を担い、役場の職員も作付けや収穫に参加している。イベントでの初披露では完売。他品種との比較で甘さの実力を証明し、以来、地域の誇りとして栽培が続いている。

糖度10の甘さを引き出す食べ方

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吉見早生のおすすめの食べ方について、岡井さんはまず輪切りにして両面を焼くシンプルなソテーを挙げる。加熱によって甘みがさらに引き出され、たまねぎ本来の旨みを存分に楽しめる。

変わり種としておすすめなのが「田尻焼き」だ。お好み焼きのキャベツを吉見早生に置き換えて作るもので、ネギ焼きのような風味が生まれる。ただし水分量が多いため、シチューなどに入れると溶けやすい点は要注意。

ピクルスにした加工品も人気で、瑞々しい食感と上品な甘さはお子さんにも好評だという。加工品は観光協会の事務所でも取り扱っている。

たまねぎ発祥の地、田尻町へ

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田尻町はマンホールにたまねぎが描かれるほど、町を挙げてたまねぎをPRしている。毎年開催される「泉州黄たまねぎ祭」では吉見早生の販売も行われ、ふるさと納税の返礼品としても提供されている。

たまねぎ以外にも、青ネギ・水なす・お米・カリフラワー・キャベツなど、四季折々の農産物が豊富な田尻町。幻の味を求めて、ぜひ訪れてみてほしい。

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